Experiment 1 : Grid vs Honeycomb vs Gyroid
通常,3Dプリンタで三次元造形を行う場合,「Infill」と呼ばれる内部充填パターンを選択します.代表的なInfillとしては,「Linear」「Grid」「Honeycomb」が挙げられますが,ここでは新たに「Gyroid」をInfillとして採用した場合の特性を解析しました.
実験は,最大で250[kg]の圧縮荷重を試験体に与えることのできる実験機で試験体を圧縮し.その変形変位を観測しました.また,3Dプリンタの特徴である、異方性を持ったブロックの力学的特性を調べるために,圧縮荷重をかける方向は,プリント積層方向に水平と垂直の両方を行っています.
この実験結果より,一般的に3Dプリンタの内部充填形状に用いられるInfill形状は,積層方向に対して垂直の強度は十分に担保されているものの,積層方向に対する水平の強度はGrid,Honeycomb共に垂直方向における圧縮強度を下回る結果となることが分かりました.一方,Gyroid形状は,積層方向に依存しない,良好な物理特性を示していました.
最大圧縮荷重値(積層方向に対して垂直方向に圧縮)
Grid ---> 2,196 [N]
Honeycomb ---> 2,623 [N] (overload)
Gyroid ---> 2,770 [N] (overload)
Experiment 2 : Octet truss vs Gyroid
Gyroidと同様に周期的内部充填形状を有するOctet truss形状とGyroid形状の力学的特性を比較するための圧縮実験を行いました.Octet truss形状は,アメリカの構造家であるRichard Buckminster Fuller氏が提唱した構造体であり,三角トラスを充填することで構成された,軽量で安定な構造体の代表です.
実験は,積層方向に対して垂直に圧縮し,その変形変位を観測しました.
この実験結果より,同じ密度を有するOctet truss形状に比べ,Gyroid形状は約1.48倍の圧縮力を担保していることが分かりました.
最大圧縮荷重値
Octet truss ---> 13.66 [kN]
Gyroid ---> 20.22 [kN]
最大変形変位値
Octet truss ---> 5,688 [mm]
Gyroid ---> 9.901 [mm]